53.役に立たない知識

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「代数は世の中で役に立つのか」と言う議論が話題になりました。確かに学校で教わることや、自分で覚えたことのうち、役に立っているとは言えないものが多々あります。直接役に立っていないけれど、知っていることで他のことの理解が深まる、と言うこともあれば、専門分野に進んだ時に初めて判る、ってのはありますが。

代数。ピタゴラスの定理に始って、方程式、因数分解微分積分行列式など、数学を使う分野に進まなければお荷物です。世の中の経理、税金計算などは四則演算で事足りますが、方や、りゅうぐうにはやぶさ 2 を着陸させる軌道計算を足し算引き算掛け算割り算で行うのは無理です。複雑な計算が必要なのは想像出来るけど、その基礎を一般市民に習わせるってのはどうも。はやぶさ飛ばさないし。
化学。無機化学有機化学、分子量計算や化合物の名前など、色々教わったけど覚えていません。薬の名前も知らない奴ばっかだし。お話に使いそうなテトロドキシンとか、ベータ・エンドルフィンとかは記憶にあるけど組成は判らん。
物理。物理法則はたくさんあって覚えられないし、元素は水素、酸素、炭素、鉄、カルシウムに、放射性元素くらいしか覚えてないけど、世紀の大発見で教科書が掻き変わっちゃうこともあるから、忘れた方がいいかも。
歴史。794 年:鳴くよウグイス平安京。1192 年:いい国作ろう鎌倉幕府。1192 年じゃなくなったらしいですね。成立は 1185 年だそうです。最近では、遺伝子科学や科学分析の結果が反映されるらしい。もちろん聖書や古事記を信じてる訳ではありません。

学校で習う事は、卒業してから覚えているかどうかの違いはあっても、人によってそれほど差はない。教師が教えたかどうかにも寄りますけど。一方で自分が覚えたことは本当に意味のない、役に立たないことばかりだと言うことがよく判ります。
United Network Command Low and Enforcement(U.N.C.L.E.)って、テレビドラマ、ナポレオン・ソロの組織の名前。番組の最初しか登場しないので、これを覚えるのに何週間(何回か見ないと分からない)か掛かった。今なら Web で検索すればすぐ判るけど、当時はそのようなメディアがありませんでした。これも何の役にも立たないし。

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親の趣味だったのか、自宅には百科事典が何種類かありました。その中の一つ「平凡社 大百科事典(平凡出版ではありません)」全 30 巻くらい。B4 サイズで厚さ 5cm くらいの巨大なものでした。廊下にあって、脊表紙がいつもこっちを向いてる。で、索引を覚えました。
「アーアン」「イーイン」「ウーエンク」「エンケーカイス」「カイセーカテ」「カトーカン」「キーキヨソ」「キヨタークワ」「クンーケンチ」「ケンテーコオ」「コカーサイケ」「サイコーシキエ」「シキヤーシヨウノ」…。