48.これまで使ったベースのこと

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最初に買ったのはバイオリンベース。知らぬ者はいないであろう、ビートルズポール・マッカートニーの使っているヘフナー 500/1 ベースのコピーモデルで、同級生から買いました。これを暫く弾いていたのだけど、ネックが重くてボディが軽くバランスが悪かった。セミアコースティックでボディが空洞で軽いため、そんなものかと思っていました。ところが 10 年程前のライヴで本物のヘフナー 500/1 を借りて弾きました。バランスは問題なく、それどころかピックの弾き方でボディが共鳴して歪み凄い音がするんです。よく考えると、当時は指で弾いていたからセミアコースティックのメリットを活かせなかったのかも。
ポール・マッカートニーは「メロディアスなベースライン」で知られています。ヘフナーを借りた時は、ビートルズの完コピーバンドなのでベースをきっちりコピーしました。それで思ったのがポールはかなり自分の指癖で弾いてる、ってこと。例えば「With A Little Help From My Friend」で聴けますが、下りて来る時に小指から人差し指と普通に運指するのではなく、人差し指をスライドさせる。そう弾かずにラインを弾きやすいようにすると聴こえ方が違う(注意! 私の印象なので間違っていたらごめんなさい)。ポールが何気なくそう弾いたか、音色まで気にしてそう弾いたか本人に聞かないことには判りませんけど。
次に買ったのがジャズベースのコピーモデル。これにはブラックナイロン弦を張ってました。これも音色が気に入らなくて、次に買ったのはギブソン EB-3 のコピーモデル。本物はロータリースィッチで低音部を強調したり音色が選べるようですが、コピーモデルでは上下ピックアップの切り替えのみ。ピックアップがハムバッキングなのに線の細い音で、フェンダー系とは違う、それなりに面白い音でした。
ここまでグレコのコピーモデルばかりでしたけど、バイトでお金を溜めて、USA フェンダーのプレシジョンベースを購入。山野楽器で
ジャズベースは 5 本に 1 本、低いフレットで音がびびる」
と言われたため、悩んだ挙句プレシジョンベースにしました。後で知ったんだけど、当時フェンダーCBS に買収されて、楽器の質が落ちた時でした。そんなの知らなくて、
「何か違うなぁ」
と思いながら使ってました。ネックは太目でビビリ音はなかったけどメイプルで重かった。それを売っちゃってバンド活動と離れてたところ友人に誘われて、フェンダージャパンのジャズベースを買いました。グレン・ミラーとかを演奏する 30 人もいるジャズのビッグバンドで、スタジオ練習の最初の 30 分はサックス、トロンボーン、トランペットなどホーンセクションのチューニング。こっちはすることなくてずっと待ってたのを覚えています。全曲譜面を渡されたなぁ。

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通っていた近所のスナックに、ボトルキープならぬキープ用に同じくフェンダージャパンのプレシジョンベースとミニアンプを置いて貰い、店に行った時に忙しくなければマスターと演奏してた。マスターは元、歌謡曲のバックで弾いてたギタリストで、スタジオレコーディングの仕事や巡業も結構あったそうな。店に置いてたプレシジョンは、ボディが丁度よく汚れて、弾きやすいし音もいいので引き取って今でも使ってます。
アップライトベースウッドベースダブルベースコントラバスとも言う)もありましたけど、これをスタジオやライヴ会場に運ぶ気がなくて、出番はありませんでした。

47.報道系と舞台系

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書籍のプロフィールで書いていますが、仕事でも趣味でも写真も撮っています。このブログに掲載している写真も全て自分で撮影したものです。
仕事ではコマーシャル写真、商品写真、建築写真などがメインで、昔のタングステンライト時代のスタジオを使ったこともありますし、それがストロボに変わって来たのを経験しています。フィルム性能が上がる前は大判カメラで商品写真、建築写真は 4×5(略してシノゴ)サイズのカメラを使うことが多く、8×10(エイト・バイ・テン略してバイテン)サイズも使いました。
お話の中で登場するカメラは、「雷猿」の主人公ヒロの先輩、岸勝が持っていた、一眼レフのアサヒペンタックス SV。
 「雷猿」はこちら >>
深大寺線物語」の新聞記者、栗原が持っていたニッカ 3s。
 「深大寺線物語2 天神様御諫め歌殺人事件」はこちら >>
どちらのカメラも持っていました。中古だけど。
コピーライターでは広告、カタログ、Web コンテンツ、ビデオ台本など色々な仕事をしました。ビデオは撮影でなく台本書きがメインで、一般向け紹介ビデオ、商品紹介ビデオ、会社紹介ビデオ、社員向け啓蒙ビデオの台本を書き、ディレクターとして撮影に立ち会うこともありました。
あるビデオで、道路で車が走る撮影(許可は取ってあります)、歩道でナレーターさんがしゃべるシーンがあって、撮影をし終わってスタジオで再生していたら、ナレーターさんのペンダントがちょっと曲ってた。それを担当の人に言ったら
「ああ、あの人は ENG 系のカメラマンです」
と言われました。ENG 系、って何だと思って調べたら「Electronic News Gathering」のことで、ニュース系のビデオカメラマンらしい。絵(ビデオ映像のこと)が撮れてることが重要で、中身は二の次になる。そうですよね。事件や報道の映像って、まず映ってなきゃ意味がない。撮影時に準備が出来れば撮っちゃう、って頭になっているのではないだろうか。
それとは別の撮影で、今度は会社紹介のビデオで撮影した時のこと、ビデオカメラの映像を小型のモニターで確認しながら行うのですが、画面にグラフを表示していた。輝度のヒストグラムのようでした。そして陰になっていたところをライトで起こしながら(明るくすること)確認してた。この時も担当の人に聞いたら
「舞台系のカメラマンです」
って言われました。絵作りを気にしているところが ENG 系カメラマンと違っている。こちらの場合はやり直しが効くから、ナレーターさんのペンダントを直してたでしょう。

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スチルカメラで瞬間を捉えた有名な写真の多くは、報道カメラマンや戦場カメラマンが撮影しています。スチルカメラはビデオカメラと違い、瞬間を捉えることを目的にするので報道もスナップも、感覚が似ていて、ことに初期の写真はその傾向が強く感じられます。一方で商品撮影やモデルさんを使った撮影は、作り込みが必要になるので違います。
例えば車のカタログ用撮影では、スタジオでメインカットを撮るのに一日二日かかります。車は金属やガラスで出来ているので映り込みが多いため、撮影カットごとにスタジオの壁を丸ごと塗料塗って映りこみをコントロールします。映り込みがあるならスタジオを塗ってしまえばいいのです。塗料が乾くまで一休み。

46.ん? さぁて次はどうしよう

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このブログを始めるに辺り、苦労せずに続けるにはどうしたらいいか考えました。お話のこと、音楽のことなどを、お話の習作みたいな感じで気楽に続ける。一方で制約を科さないといい加減になってしまう。そこで、アイウエオ順に書くのは手だと思い、この 46「ん」で一通りアイウエオが終わったのでした。さぁて次はどうしよう。
ブログの中で、フリーメーソンが元は石工の組合から始まったのが判ったことは、「いかりのにわとり くれんどうの鍵」で使わせてもらったし、「猫と武蔵と小次郎と」も、ブログから始まったお話でした。
 「いかりのにわとり くれんどうの鍵」はこちら >>
 「猫と武蔵と小次郎と」はこちら >>
次から「あかさたな」を濁音にしてガザダバパで続けるってのはどうだろう。ギジディビピ、グズドゥブプと続く。難ありの気がするなぁ。
順番に続ける時の「順」には、どこか規律を強制し強迫的な雰囲気がありますが、元々人が持っている感覚なのでしょうか。小さい順、大きい順、高い順、おいしい順、長い順など順番を付けるのは人間の持つ基本的な感覚なのかも知れません。
音楽などはその代表で、数学的とも言われますね。音の周波数がそうです。基準となる A(A4)は 440Hz で、オクターヴ下の A は 220Hz です。もちろんオクターヴ上は 880Hz。
一本の弦を 1/2 にした時に、元の高さのオクターヴ上になり、それをまた半分にした 1/4 の高さが 5 度上になります。弦楽器を演奏していれば知っていますよね。
音の並びを音楽として受け取るのは生き物だけで、ロボットや機械はメロディと受け取らず音が並んでいるだけと受け取る、とも言われます。順番を付ける感覚に似てるかも知れません。
ベースの弦は低い方から「E A D G」と 4 度ずつ並んでいます。関係ないけど私は弾く力が割と強くて、ベース弦を切った(弾き千切った?)ことがあります。ギターが弦を切るのは見ることがあってもベース弦を切ったのは見たことないでしょう。それもライヴで 2 回。一度はブルースの途中で、A の弦を切って、それも A の曲だったので、代わりに上下の E の弦と D の弦で弾かなければならず忙しい思いをしました。一瞬、さぁてどうしよう、と思ったけどライヴは止まらない。

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バンドを題材にしたお話を書こうかと思ったのですが止めました。色々知っているだけに、他のメンバーが見たら
「あっ、あれを題材にしてるな」
とか、
「誰某をモデルにしただろう」
と言われそうなので止めました。
昔読んだ、アート・バックウォルドのコラムにあった。ある作家が家族間で起きる揉め期とや不倫の話を書いたそうな。すると叔父さんや叔母さんから、なぜあの話を書いた、と小言を言われたそうです。
「本当に書いたの?」
「いや、違うんだ。シェークスピアをパクったんだ」
「…」
そう言えばシェークスピアの話って、家族の問題が多い。