45.Walkin'(ウォーキン)

電子書籍を書いています。楠田文人です。
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「Walkin'」は、マイルス・デイヴィス・オールスターズのアルバムです。横断歩道の信号機のジャケットです。
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ソロにエコーが掛かっているところが時代を感じさせます。バックがピアノ、ベース、ドラムだけで音が埋まってないから余計気になるのでしょうか。マイルスのソロは勢いで吹くのではなく、考えながら吹いてる感じで、普通なら
「D F G (キーは「Bb」)」
でそのまま上の「Bb」に行くかと思うと詰まって、下の「Bb」に戻る。予想してた流れを外された感じがします。かと思うと、別の部分でも同じフレーズの
「D F G 」
で始って、またちょっと詰まってから上の「D Bb」に行く。スタジオ録音の時に、他のミュージシャンが
「あっ、そっちに行くか」
って顔をするのを見て楽しんだのではないかと思ったり。ピアノが一瞬モンクっぽくてたどたどしいけどホレス・シルバー
このアルバムを最初に聴いたのは中学生でした。当時、私の席の周りのK君とH君もジャズ、ソウル、ロックが好きで、他の生徒がグループサウンズにハマっているのを尻目にK君はリトル・スティービー・ワンダーやライチャス・ブラザース、H君は MJQ やウェス・モンゴメリの話をしてた。少し席の離れたM君はクラシックが好きで、こっちはマーラーとかを聴いてたと言う、割と不思議なクラスでありました。
思い起こせば私がこの手の音楽に興味を持ったのは、家にあったレコードからでした。父親は全集ものが好きで、「文学全集」「百科事典全集」に始まり、ステレオの下には「世界の音楽全集」「クラシック全集」とかがありました。5 枚組「世界の音楽全集」のアメリカ編を聴いてたら、全く聴いたことのないジャンルの音楽があった。「Sweet Georgia Brown」と「Honey Sucle Rose」でした。
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これはサッチモとレナ・ホームですが、当時聴いたのはインストゥルメントでした。それまで小学校唱歌とかクラシックしか知らなかったのに、初めて聴いたブルースっぽい曲は驚きで記憶に残ってました。

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関係ないが爪を切りました。切った爪が床に落ちたので拾おうとしたけれど、中々摘まめない。爪が短くなったから指先だけじゃ摘まめないんですね。爪がないとだめだ。これをジレンマって言うんだろうなぁ。思い出した。
眼鏡の小さなネジを締めようと、百均で小さいネジ専用のドライバセットを買って来ました。さて、眼鏡のネジを締めようとドライバを手にしたけれど、よく見えない。しょうがないのでまた百均に行って百円眼鏡を買って、それを掛けてネジを締めた。

44.われは海の子 知らないの

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「そよぐ磯辺の松原に 煙たなびく苫屋(とまや)こそ」
苫屋ってのは、屋根を「とま」で葺いたボロ家のことらしい。煙がたなびいてるから、中で何かを焼いているに違いありません。古い石造りの竈があって、魚の脂が薪に落ちて煙になっているのでしょう。磯辺の松原で海が近いから魚を取り放題。焼いてて脂がぽたぽた、したたり落ちる程だから、脂の乗った、例えば漁師がくれたサンマかも。ハマグリを焼いても汁がしたたり落ちるから、かなり贅沢な気がする。
「さざんかさざんか 咲いた道 焚き火だ焚き火だ ダイオキシン
落ち葉を集めて焚き火をしたり、空いた石油缶に落ち葉や新聞紙を入れて焚き火をする光景はすっかり見なくなりました。たまに農道で藁? かなんかを積み上げて焼いてるところを見ることがありますけど。
小学校唱歌や童謡は記憶の奥深くにあって、困ると思い出される。困るのは「尻取り歌合戦」で歌が思い付かない時です。最初のうちは流行りの歌で戦ってても、次第に思い付かなくなって、困って来ると古い記憶から出て来る。ワンフレーズだけでも歌えるしキリがいいし、皆が知ってるから途中の部分だけ取り出しても充分戦える。

「『きっと君は来ない 一人きりのクリスマスイヴ』ヴ!」
「『ヴーンと飛んでく鉄人 28 号』ごう!」
「突然古いので来たな。それって、ビューンじゃないの?」
「ヴューンと飛んでく鉄人」
「まあ、いいか。『ごめんね、ジロー、ごめんね、ジロー』ろ!」
「うっ、こんな歌は忘れてた。ろ、ろ、『ロマ~ンスの神様、この人でしょうか』か!」
「へへ。『カーモン ベイビー アメリカ』か!」
「それ、流行ってるんだよね。『母さんが夜なべをして 手袋案でくれた』た!」
「『ただ一面に たちこめた』た!」
「その歌なんて言う題名だっけ?」
「何だっけ。あ、『牧場の朝』」
「そうだ、そうだ。懐かしいな。林間学校で歌った記憶があるな」
「あと三秒。た!」
「うー、た、たと…。『ただ 一度だけの戯れだと 知っていたわ』わ!」
「『我は海の子 白波の』」

「そよぐ磯辺の松原に 煙たなびく苫屋こそ」
苫屋ってのは、うらぶれたボロ家のことらしい。煙がたなびいてるのだから、中で何かを焼いているに違いない。古い石造りの竈があって、あれ?

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古い歌を題材にした「深大寺線物語2 天神様御諫め歌殺人事件」を書きました。
 深大寺線物語2 天神様お諌め歌殺人事件はこちら >>

「尻取り歌合戦」は、同年代同士でなければ成り立たないことに気が付きました。年代のかなり離れた人と尻取り歌合戦をして、「トンピリピは二つ お舟を持っている」とか、「ヒッカリコマタキ ワーイーワイ」とか歌っても「何それ?」って言われるだけでしょう。

43.ローハイドのイメージが変わった

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ローハイド(RAW HIDE)は、その昔ヒットした白黒時代のアメリカのテレビ番組で 、今でも DVD などであります。「ローレン、ローレン、ローレン」と言う主題歌が印象的ですね。ローハイドの意味を調べてみました。
「RAW HIDE」は RAW(生)の HIDE(生皮)で、牛の皮の鞭とか、カウボーイがジーパンの上に履いてる牛の皮のことを意味するらしい。RAW って、デジタルカメラのセンサーで得られた、処理していない生のデータも「RAW データ」って言いますね。処理したものが JPEG とかの画像データ。
その昔、デジタルカメラの開発に関わっていたことがあるのですが、サンプルが上がってくる度に得られる画像が変わる。色味が変わったりノイズが減ったり増えたり。聞いたら、RAW データを組み込み基板で処理して jpeg を生成する味付けが手探りだとか。完成までには時間が掛かりました。話が反れた。
ローハイドのイメージが変わったのは、映画「ブルース・ブラザース」を見てからです。刑務所から出所したばかりのジェイク(故ジョン・ベルーシ)と弟分のエルウッド(ダン・エイクロイド)が、育った孤児院の税金を払うために、昔のバンドのメンバーに呼び掛けてお金を稼ぐストーリーで、キャブ・キャロウェイ、レイ・チャールス、ジェームス・ブラウンアレサ・フランクリンなど、ソウルの錚々たるアーティストが登場します。また、スター・ウォーズのレイヤ姫役、キャリー・フィッシャーはジェイクを追いかける恋人役で登場してバズーカ砲でビルを壊したりします。最後辺りでエルウッドにナンパされたトウィッギーが、素っ気ない返事をしたのに待ち合わせ場所で待ってたり。カントリー&ウェスタン、ボサノバなど、ブルースのない音楽を、それとなくからかってるところが伝わって来ます。
誤魔化して出演したカントリー風レストランで、客層を構わずに「Gimme Some Lovi'n」を演奏し始めたら電源を落とされ、仕方なく「Raw Hide」のテーマを演奏したら受けて、「Stand By Your Side」なども大受けでした。
映画が日本に来る前に輸入盤でレコードを買った友達が、何でブルース・ブラザースにローハイドが入ってるか判らん、と言ってましたが、映画を見て謎は解けたのでした。

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映画ブルース・ブラザースには多数のミュージシャンが出演しています。バックバンドは「Green Onion」で有名なブッカー T&MG's のメンバーで、ベースのドナルド・ダック・ダン(数年前来日してホテルで亡くなりました)、スティーブ・クロッパーなど。
レイ・チャールスは「We Are The World」のヴォーカル・テイクに登場していてこれも凄い。ほとんどの録音が終わった後に、掛け声やヴォーカルを被せる場面で、ヘッドフォンから流れる録音を聞き点字の歌詞を読みながら、踊りながら相の手を入れて行くのですが、レイ・チャールスの声だけ聞いたら何を歌ってるのか判らない。最期に全部の録音が流れるとその意味が判るようになっている。
録音の途中で、アル・ジャロウハリー・ベラフォンテの「バナナ・ボート」を歌い出すと、ハリーは照れ笑いしながら聞いてる。音楽の話で長くなってしまった。