52.鬼ヶ島復興計画再び

電子書籍を書いています。楠田文人です。
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昔話のパロディを書いてみたいと思ってました。その中の一つに「鬼ヶ島復興計画」があります(前にも書きました)。桃太郎一味に侵略された鬼ヶ島の鬼達が、銀行から資金を調達して、鬼ヶ島を一大リゾートに変身させるという、涙ぐましいお話です。
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実際に書くことを考えると、桃太郎一味の猫・猿・雉は傍若無人なキャラクタとして、違う! 犬・猿・雉だ、対する鬼達は展開から考えて、親切そうな鬼おじさんとか、優しい鬼おばさんとか、純朴なキャラクタにしないといけない。登場する鬼も一鬼だけではなく、複数のキャラクタを考えなければならない。結構面倒だなぁ。
復興が中々進まないことに苛立った若い鬼が島を飛び出して、本土のマスコミに桃太郎に侵略されたことを体験談にして吹聴し、一躍有名になって仕舞うとか。
桃太郎の友人で明朗快活と思われていた浦島太郎が、実は陰湿な性格で気に入らない奴に玉手箱煙を浴びせて老人にして仕舞うとか。

「きひひひ。うまく行った」
「おのれ! 何をした」
 税金 G メンは、浦島太郎に怪しい煙を掛けられ力が抜け、その場にへたり込んで仕舞った。
「竜宮城で手に入れた、『竜宮加齢香』だ。これを嗅いだら 30 年ばかし歳を取る」
「うぐっ」
 急速に歳を取った税金 G メンは起き上がろうにも起き上がれない。そこに桃太郎が現れた。
「おっ! 浦島太郎。また悪さを働いているのか?」
「よいところに来た、桃太郎。わしはお前が気に食わなくて、一度竜宮加齢香を嗅がせてやろうと思っておったのじゃ」
「俺は嗅ぎたくねぇよ!」
 桃太郎は、さっとポケットからマスクを取り出して付けた。
「これで加齢香とやらは利かねぇぜ!」
「くそっ!」
 桃太郎は税金 G メンを抱え起こしながら言った。浦島太郎は勝てないと思ったのか、慌てて荷物をまとめてバイクに乗って走り去った。
「おい爺さん」
「私はまだ爺さんではありません」
「今は爺さんだよ。元に戻して欲しいか?」
「戻してくれるのか!?」

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「ここに除齢樹の実がある。これは俺の子分の雉が、山奥から見付けて来たもんだ」
「そ、それで元に戻るのか!?」
「大丈夫だ。加齢香で取った歳は戻せるぜ」
「ほ、本当か?」
 浦島太郎は、魚篭の中から他の道具を探している。
「本当だ。知らずに実を食った子分の犬、猿、雉が、小犬、子猿、ひよこになっちまった」
「それで…」
「俺はママ太郎だぜ」
「…」

桃太郎以外のキャラクタを登場させると面白いかも。