28.ブルースはペンタトニック・スケール

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ブルースはペンタトニック・スケール(ラ、ド、レ、ミ、ソ)で出来ています。三度目(ド#)が半音上がらず、メジャー・スケールで 7th の音(ソ)もペンタトニックではスケール上の音になる。伴奏のギターはメジャー・スケールで、その上のメロディがペンタトニック。単純に言えば長三度と短三度が重なる訳で、最初に聴いた時は不思議な感じでした。演奏する方はそう言うものだと思っていたのだろうか。慣れると何とも心地よいものです。

古いブルースの雰囲気を残している R.L. バーンサイドミシシッピブルース。
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オープン・チューニングのようですね。
同じく古いブルースで、こちらはライトニン・ホプキンス。
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ヴォーカルはペンタトニック、演奏(間奏?)はメジャー・スケールです。
ビッグ・ビル・ブルーンジー。
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ギターの低音弦でリズムを刻んでいるのがよく判る。シャッフルに繋がるリズムでテンポが遅くなると 6 拍子になります。

エリック・クラプトン Cream 時代の「Crossroads」は、ソロ最初の 3 小節はメジャースケールで始まって、後はペンタトニックになって最後までそれが続く。メジャー・スケールとペンタトニック・スケールの混在がまた気持ちいい。
 Cream の「Crossroads」はこちら >>
古いブルースはペンタトニックでメロディを構成しているけれど、クラプトンの Crossroads はメジャー・スケールで音を捉えていて、その中からペンタトニックを選択している感じがします。イギリス的解釈のブルースなのでしょう。
 ロバート・ジョンソンの Crossroad はこちら >>
ベースの場合、ロックやブルースはペンタトニックで弾くことが多いけど、ジャズだとメジャースケールで弾くことが多いですね。ペンタトニックで弾くとマイナー・スケールみたいに聞こえてしまうからでしょうか。「Ⅴ->Ⅳ」のところを「Ⅱー>Ⅴ」にすることも多いし。

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日本の四七(ヨナ)抜き音階もブルースに似ていて、太平洋側だと長音階の四七抜き音階(ド、レ、ミ、ソ、ラ)になり、日本海側だと短音階(ラ、シ、ド、ミ、ファ)になる。前者が「浜千鳥」の音階で、後者が「北の漁場(北島三郎オリジナル)」の音階と言えば判りやすいでしょうか。
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演歌が短音階の四七抜きになったのは大正時代からと言う話もあります。
沖縄音階は二六抜き音階(ド、ミ、ファ、ソ、シ)ですね。ブルースといい日本音階といい、ペンタトニックが基本なんだろうなぁ。
マイティ・サム。こんなの聞くと、ペンタトニックでもメジャー・スケールでもどうでもよくなってしまう。
 Mighty Sam McClain When The Hurt Is Over はこちら >>

27.「ひよろり」の今後を考える

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「ひよろり」と言うお話を書きました。
 「ひよろり」はこちら >>

ひよろりの名前は片倉紗世と言います。ひょろっとしているので、主人公のヒロ(清水浩之)がひよろりと名付けました。ひよろりは転校して来た六年生でヒロは五年生。同じ小学校に通っています。ひよろりは不思議な力を持っていて鳥達と言葉を交わすことができます。
お話はひよろりが卒業するところで終わっていますが、続きを考えています。

「ひよろりを留学させよう!」
「留学ですか? どこに」
「イギリスかドイツか、そんな辺りだ」
「アメリカは?」
「だめだ」
「何でだめなんですか?」
「ひよろりは鳥遣いだ。そう言う技能を伸ばすのにアメリカは向かない」
 何で向かないのか判らないが、課長は言い出したら聞かないから困る。
「父親がイギリスに転勤してたから、イギリスなら知り合いとかいるんじゃないですか?」
「そうだったな。それじゃドイツにしよう」
 何でだ。全く判らんぞ。
「楠田さん、お電話です」
「はい、ちょっと待って」
 営業の電話を受けた楠田がしばらく話をして戻ってきた。
「済みません。書店からひよろりの次作の問い合わせでした。えーっと、どの学校がいいですかね?」
「ドイツかオーストリア、それかハンガリーにしよう。きっと鳥遣いがいるに違いない」
「やっぱり鳥遣いは重要ですね」
そだねートランシルバニア地方もいいな」
「もしかして課長、妖怪とか吸血鬼とかに逢わせようと思ってませんか?」
「ははは。バレたか」
 ひよろりはそう言う話じゃないんだけど。
「ヒロくんはどうします?」
「清水か。やつは大学に進むんだが、将来をどうするか考えあぐねている。そこにひよろりが留学先から帰って来る」
「すると、ひよろりは高校で留学じゃないと話が合いませんね?」
「そうだな。そう言うことになるな」

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ひよろりを留学させることになりました。それもドイツ、オーストリアハンガリーのどこか。あまり馴染みがないからか、なんとなく憧れのあるところです。
ひよろりは誰に会うのでしょうね。
 
「ここがエムス高校か」
 東京から来た留学生、片倉沙世がエムス高校の正門を感慨深気に見ている。記念写真は撮らない。雀が三羽、目の前に舞い降りた。
「よろしくね」
 雀はびっくりしてひよろりを見る。
「そうだよ、鳥の言葉が判るの」
 それを聞いた雀はぺちゃくちゃお喋りを始める。
「ああ、そう言う話は後でね」
 ひよろりは雀の問いをそのままに正門の中に入って行った。
さあ、どうなる?

26. Haven't We Met

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春っぽい感じがするジャズです。ジャズのシンガー&ソングライター、ケニー・ランキンの曲。

 Haven't We Met(ケニー・ランキン)はこちら >>

軽快なワルツでアン・サリーも歌っています。

 アン・サリーはこちら >>

これ以外にも、メル・トーメ、カーメン・マクレーなども歌ってます。
歌詞の中に「Haven't We Met」が出て来るのですが、英語って男言葉と女言葉が日本語程はっきりしていないので、「お会いしましたか?」なのか「お会いしたかしら?」なのか判りません。女言葉で訳した方がしっくり来ます(ご興味のある方は歌詞を Web で検索してみてください)。内容もおしゃれで女性が歌うとよさそうな、一昔前のミュージカルの感じで、オードリー・ヘップバーン主演、ってとこかな。
この曲を演奏するのはとても難しい。うちのバンドの楽器構成がサックス、ピアノ、タイコ、ベースだったからかも知れませんけど、中々軽い感じを出せません。タイコの刻み方か、ピアノのリズムか、はたまたベースのせいなのか結構悩みましたが、毎回違う理由で軽い感じならない。ギターがリズムを刻んだら軽い感じが出たかも。

三拍子と言うか、ジャズワルツってそれ程多くありませんがどれも名曲です。

 Some Day My Prince Will Come(いつか王子様が)マイルス・デイビス こちら >>

 Walts For Debby ビル・エバンス こちら >>

三拍子そのものがジャズでは珍しいので印象に残りやすいのでしょうか。三拍子の曲はブルースっぽくないので近代音楽的な雰囲気が出るのかも。マイナーブルースなら三拍子もいい感じですけど、そもそもジャズとワルツって相性がいいとは思えない。相容れない世界ですからね。
変拍子で一番有名なのは「テイク・ファイブ」でしょう。

 デイブ・ブルーベックのテイク・ファイブはこちら >>

これは 5 拍子です。最近の(最近でもないが)Fusion 系では平気で変拍子が登場します。これはタル・ウェルキンフェルド。

 タル・ウェルキンフェルドのセレンディピティ>>

不思議なことに、ジャズでも三拍子ではない変拍子だとしっくりします。昔から変拍子があったみたいな感じで馴染んでしまう。と言うよりは、三拍子がジャズにとってちょっと変わった雰囲気を持っているのかもしれません。

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「先生、何故三拍子だけジャズで異質なのでしょうか?」
「それはだな、ジャズはブルースが基本。ブルースと言うことは四拍子だな」
「ブルースは四拍子だけじゃなくて、六拍子もありますね?」
「ある。六拍子だがシャッフルで考えれば、四拍子と同じだ」
「同じですか?」
「そうだ。演奏する側にとってだが、ノリが違うだけで同じだ」
クラシック音楽では三拍子がありましたねよ?」
「あった。だがクラシックの場合、昔は小節と言う区切りがなかったから、拍子と言う概念がなかったに等しくて三拍子とは言えないがな」
「三拍子はなかったんですか?」
「いや、あった。二拍子と三拍子で全てを表していた」
「三拍子は結構古いんだ。三三七拍子も古いですよね?」
「それは拍子ではない」