04.ゑひもせすん

お話(電子書籍)を書いています、楠田文人です。

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「いろはにほへと ちりぬるを」

いろは四十七文字全てを使い、七五調形式の「いろは歌」は平安時代に作られた手習い歌で、「あいうえお」が登場するまでは「いろは」で文字を教えていました。現在は最後に「ん」を付けて四十八文字です。
「犬も歩けば結構疲れる」
「路地より招魂の儀式」
「花代がタンゴ踊る」
などカルタも作られています。

ひらがなを重複しないように使って作った歌なんて凄いですが、「いろは歌」以外にも四十七文字を使った「あめつちの歌」「たゐにの歌」があり、「鳥啼歌(とりなくうた)」は、明治時代の新聞で募集された「新いろは歌」で最優秀作品となったものです。

「とりなくこゑす ゆめさませ ・・・(続く)」 (鳥啼歌)

普通のお話の中で、それぞれの文字はいくつずつ使われているのでしょう。シャーロック・ホームズの「踊る人形」の中で、使用頻度の多い文字は「e」と言う下りがありますが、日本語では「い、ん、か、し」の順だそうです。ふうん。自分で書いたお話の文字数を計測するプログラムを作ってみようかな。

文字を重複しないように作ると言うのはかなりの制限ですが、コピーライティングでも重複を要望されることがあります。広告に使うキャッチコピーや商品名を可能な限り文中に紛れ込ませてくれ、とか、同業他社製品と比較してうちのよさを何度も訴求してくれなどです。たくさん書いてもやはり限界がある。多過ぎるとしつこくなるし不自然で、まあ、ちょっと多いなくらいで止めといた方が安全ですね。ある企業情報誌の仕事では、a. 同じ表現を二度使わない、b. 体言止めは使わない、c. 常体で書く、ことを要望されました。結果、論文のようなコピーになりまして、担当者の好みだったのではないかと今も思っています。

英語にもアルファベット全てを使う「パングラム」があります。こちらもいくつかある中で、よく知られている文はタイプライターやコンピュータのフォントサンプルで見られる次の文です。

「The quick brown fox jumps over the lazy dog」
(素早い狐がのろまな犬を飛び越える)

重複して「o」とか「the」があるのは気にしないこと。「o」は子音だけじゃ単語にならないからでしょうか。でも、子音だけの表記ってあるんですよね。表音文字であるが故に母音を省いても元の文が判る「thx(thanks)」「4U(For You)」みたいな略し方があります。
幼児が書く綴りは発音に即して「Cat」が「Kat」になったり、「Play」が「Plai」になったりするらしい。「キャット」は「キャ」だから「K」と思っちゃう。「y」は読み方で半母音や母音になるらしい。母音の発音は二十種類あるのに文字は「a、e、i、o、u」なので、「Child」と「Children」みたいな表記は同じで発音が違う単語が存在します。日本語でこう言うことはないですね。幼児は「きつね」を「きつに」とは書きません。

調べてみました。

英語表記のアルファベットはラテン語の文字から来ていますが、その元はエトルリア文字で、そのまた元はギリシャ文字で、そのまた元はフェニキア文字(北部セム語)だったそうです。これは知らなかった。そして何と! フェニキア文字には子音しかなかった。言語が伝わった訳ではなく文字が伝わったので、違った言語の発音をどう表現するか苦労した結果だと思います。英語をひらがなで表記するみたいな感じかも。

「ざ くぃっく ぶらうん ふぉっくす じゃんぷす おーばー ざ れいじー どっぐ」

素早い狐に思えなくなりました。

 

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ひらがなだけを使った暗号入りの手紙を登場させたことがあります。いろは歌ではないけれど、ひらがなはアルファベットと違って適当に繋げても読める。

 いかりのにわとり >>

謎解きが主題ではないので、すぐに判る程度の暗号化。こんな感じです。
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あのひの ことをおもいだした
すごい あめだった
はしってかえったけど ずぶぬれになった
あした てんきになると おもうかね
つきがでて くもひとつ なかったからな
いつものことだが そのゆだんが じけんをひきおこすのだ
ぞうさんが みずあびをした りゆうを わすれたか
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警告っぽい内容だけど、でも何を言いたいのかよく判らないけど、頭の文字を繋げると「あすはあついぞ」になります。明日は暑いぞ。