47.報道系と舞台系

電子書籍を書いています。楠田文人です。
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書籍のプロフィールで書いていますが、仕事でも趣味でも写真も撮っています。このブログに掲載している写真も全て自分で撮影したものです。
仕事ではコマーシャル写真、商品写真、建築写真などがメインで、昔のタングステンライト時代のスタジオを使ったこともありますし、それがストロボに変わって来たのを経験しています。フィルム性能が上がる前は大判カメラで商品写真、建築写真は 4×5(略してシノゴ)サイズのカメラを使うことが多く、8×10(エイト・バイ・テン略してバイテン)サイズも使いました。
お話の中で登場するカメラは、「雷猿」の主人公ヒロの先輩、岸勝が持っていた、一眼レフのアサヒペンタックス SV。
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深大寺線物語」の新聞記者、栗原が持っていたニッカ 3s。
 「深大寺線物語2 天神様御諫め歌殺人事件」はこちら >>
どちらのカメラも持っていました。中古だけど。
コピーライターでは広告、カタログ、Web コンテンツ、ビデオ台本など色々な仕事をしました。ビデオは撮影でなく台本書きがメインで、一般向け紹介ビデオ、商品紹介ビデオ、会社紹介ビデオ、社員向け啓蒙ビデオの台本を書き、ディレクターとして撮影に立ち会うこともありました。
あるビデオで、道路で車が走る撮影(許可は取ってあります)、歩道でナレーターさんがしゃべるシーンがあって、撮影をし終わってスタジオで再生していたら、ナレーターさんのペンダントがちょっと曲ってた。それを担当の人に言ったら
「ああ、あの人は ENG 系のカメラマンです」
と言われました。ENG 系、って何だと思って調べたら「Electronic News Gathering」のことで、ニュース系のビデオカメラマンらしい。絵(ビデオ映像のこと)が撮れてることが重要で、中身は二の次になる。そうですよね。事件や報道の映像って、まず映ってなきゃ意味がない。撮影時に準備が出来れば撮っちゃう、って頭になっているのではないだろうか。
それとは別の撮影で、今度は会社紹介のビデオで撮影した時のこと、ビデオカメラの映像を小型のモニターで確認しながら行うのですが、画面にグラフを表示していた。輝度のヒストグラムのようでした。そして陰になっていたところをライトで起こしながら(明るくすること)確認してた。この時も担当の人に聞いたら
「舞台系のカメラマンです」
って言われました。絵作りを気にしているところが ENG 系カメラマンと違っている。こちらの場合はやり直しが効くから、ナレーターさんのペンダントを直してたでしょう。

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スチルカメラで瞬間を捉えた有名な写真の多くは、報道カメラマンや戦場カメラマンが撮影しています。スチルカメラはビデオカメラと違い、瞬間を捉えることを目的にするので報道もスナップも、感覚が似ていて、ことに初期の写真はその傾向が強く感じられます。一方で商品撮影やモデルさんを使った撮影は、作り込みが必要になるので違います。
例えば車のカタログ用撮影では、スタジオでメインカットを撮るのに一日二日かかります。車は金属やガラスで出来ているので映り込みが多いため、撮影カットごとにスタジオの壁を丸ごと塗料塗って映りこみをコントロールします。映り込みがあるならスタジオを塗ってしまえばいいのです。塗料が乾くまで一休み。