44.われは海の子 知らないの

電子書籍を書いています。楠田文人です。
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「そよぐ磯辺の松原に 煙たなびく苫屋(とまや)こそ」
苫屋ってのは、屋根を「とま」で葺いたボロ家のことらしい。煙がたなびいてるから、中で何かを焼いているに違いありません。古い石造りの竈があって、魚の脂が薪に落ちて煙になっているのでしょう。磯辺の松原で海が近いから魚を取り放題。焼いてて脂がぽたぽた、したたり落ちる程だから、脂の乗った、例えば漁師がくれたサンマかも。ハマグリを焼いても汁がしたたり落ちるから、かなり贅沢な気がする。
「さざんかさざんか 咲いた道 焚き火だ焚き火だ ダイオキシン
落ち葉を集めて焚き火をしたり、空いた石油缶に落ち葉や新聞紙を入れて焚き火をする光景はすっかり見なくなりました。たまに農道で藁? かなんかを積み上げて焼いてるところを見ることがありますけど。
小学校唱歌や童謡は記憶の奥深くにあって、困ると思い出される。困るのは「尻取り歌合戦」で歌が思い付かない時です。最初のうちは流行りの歌で戦ってても、次第に思い付かなくなって、困って来ると古い記憶から出て来る。ワンフレーズだけでも歌えるしキリがいいし、皆が知ってるから途中の部分だけ取り出しても充分戦える。

「『きっと君は来ない 一人きりのクリスマスイヴ』ヴ!」
「『ヴーンと飛んでく鉄人 28 号』ごう!」
「突然古いので来たな。それって、ビューンじゃないの?」
「ヴューンと飛んでく鉄人」
「まあ、いいか。『ごめんね、ジロー、ごめんね、ジロー』ろ!」
「うっ、こんな歌は忘れてた。ろ、ろ、『ロマ~ンスの神様、この人でしょうか』か!」
「へへ。『カーモン ベイビー アメリカ』か!」
「それ、流行ってるんだよね。『母さんが夜なべをして 手袋案でくれた』た!」
「『ただ一面に たちこめた』た!」
「その歌なんて言う題名だっけ?」
「何だっけ。あ、『牧場の朝』」
「そうだ、そうだ。懐かしいな。林間学校で歌った記憶があるな」
「あと三秒。た!」
「うー、た、たと…。『ただ 一度だけの戯れだと 知っていたわ』わ!」
「『我は海の子 白波の』」

「そよぐ磯辺の松原に 煙たなびく苫屋こそ」
苫屋ってのは、うらぶれたボロ家のことらしい。煙がたなびいてるのだから、中で何かを焼いているに違いない。古い石造りの竈があって、あれ?

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古い歌を題材にした「深大寺線物語2 天神様御諫め歌殺人事件」を書きました。
 深大寺線物語2 天神様お諌め歌殺人事件はこちら >>

「尻取り歌合戦」は、同年代同士でなければ成り立たないことに気が付きました。年代のかなり離れた人と尻取り歌合戦をして、「トンピリピは二つ お舟を持っている」とか、「ヒッカリコマタキ ワーイーワイ」とか歌っても「何それ?」って言われるだけでしょう。