37.幽霊話を書きたい

電子書籍を書いています。楠田文人です。
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深大寺線物語 3 蘇る百年前の事件」で、幽霊を叱り飛ばす女将さんの話を、挿話として登場させました。その時から幽霊の話を書いてみたいと思っています。
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現在の白い着物を着て足のない幽霊を定着させたのは、江戸時代後記の画家、円山応挙(まるやま おうきょ)だそうです。それまでの幽霊画は、お岩さんのようなおどろおどろしい化け物系で、鬼みたいのばかりのところに美人の幽霊だったため受けたらしい。これなら出て来てもいいと思ったのでしょうか。おどろおどろしい幽霊より話が通じそうに思えます。

ヒュー、ドロドロドロ。
「お、お化けだぁ!」
「幽霊だってば」
「お化けでも、幽霊でもいけど、何でここに出て来るんだ!」
「幽霊とお化けは違うのよ!」
「知ってるけど、何でここに出るんだよ!?」
「あたし、方向音痴なの。ここ、駒込二丁目よね?」
「全然違うんだけど…」
「えー。それじゃどこよ!」
「自分で間違ってるのに怒るなよ。駒場二丁目」
「似てる! 似てるけど違う! 地下鉄の駅を出たところで聞いたんだけどな」
「誰に聞いたんだ?」
「柳の木。あたしと似たような格好でだらっと垂れ下がってるじゃん」
「ちょっと意味不明なんだけど」
「何言ってるのかよく判らなかったのよねぇ。コマ△×●■とか、聞き間違ったのかな。ちょっと確認して来るね」
「もう出なくていいよ!」

幽霊っぽいものが登場する話をいくつか書いています。
 七道奇談「狐雨」はこちら >>
 七道奇談「手霊」はこちら >>
 七彩抄「木霊」はこちら >>
言うまでもなく「鬼」は昔から日本の化け物の代表でした。化け物と言うのか、人間とは違う種族で、人間に悪さをする生き物だったようです。桃太郎、打手の小槌、こぶとり爺さん、羅生門の鬼などあちこちに登場します。このブログでも「鬼ヶ島復興計画」を書いていますし、お話にもご登場を願っています。
 「東多魔川鉄道物語」はこちら >>
 「鼻先案内犬番外編 祈祷師高山宜定 恨みの手紙」はこちら >>
鬼は、難破して舟で流れついた外国人のことではないかとの説もあります。青森県にキリストの墓があるくらいですから、その他大勢が流れついてもおかしくありません。
日本の幽霊は海外のゴーストと違い、生前の恨みのために成仏出来ず、それを晴らそうとして現れるので、ならば恨みのある人以外は関係ないはず。それに、元は人間だったので生前の性癖は治らないので、せっかちな人はせっかちな幽霊だろうし、忘れっぽい人ならそう言う幽霊でしょうね。

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ヒュー、ドロドロドロ。
「わっ! またお化けか!? 今度は鬼か?」
足がない。
「鬼のお化けか?」
「幽霊だ。鬼の幽霊だ」
「ややこしい奴が出たな」
「俺は渡辺綱って侍に切られた。そいつの枕許に化けて出ようと思って探してるんだが、見付からなくて『わたなべ』って表札を一軒ずつ確認してるところだ。邪魔したな」
「ご苦労様です」