30.「本末転倒」と「風が拭くと桶屋が儲かる」の関係

新しい書籍が増えました。楠田文人です。
 電子書籍はこちら >>

ここで言う本末とは「本:元の話」と「末:枝葉の話」のことで、それが逆になると言う意味です。 例えば、夏休みの宿題をするに当たって、スケジュールを作ろうと考えた。

・スケジュールを普通のノートに書いてみたが見辛い
・大きな模造紙を買って来て、そこにスケジュールを書いて壁に貼った
・今度は大きすぎて休みの最初と最後を一目で見られない
・もう一枚模造紙を買って来て
 横にして二つ折りにする
 横長になった模造紙を半分に折って横 B4 にする
 それぞれ外側に折り返すと、縦 B5 の蛇腹になる
 開くと横に四ページ繋がった紙が出来た

これなら一週間を一ページに書けばいいし、宿題以外の遊ぶ予定は全体を裏返して書けばいい。模造紙だから鉛筆、マジック、ペン、何でも書ける。ノートにマジックじゃ書けないし。難点は紙の厚さがあって嵩張ること。
そうだ! 最初から横半分に折って切ってしまえば、無駄がなくなって倍に使えるんじゃないだろうか。
早速横半分に切ってみた。厚みもちょうどいい感じだ。倍になったページを何に使おう。二つに増えたけど宿題の予定と遊びの予定は充分あるし。切った時に少しずれて上に飛び出したページがみっともなく思えてきれいに切った。これでよし。これを入れるケースは何がいいだろう。アクリルの薄いやつかな。
とまあ、こう言うのが宿題のスケジュールを作るところから、スケジュール表作りに熱中してしまうパターン。似たような経験、ありますよね。
「風が拭くと桶屋が儲かる」の場合は

・風が吹くと埃が舞い上がる
・埃が目に入って盲が増える
・盲は三味線を演奏して金を稼ぐ
・三味線は猫の皮を使うので猫が減る
・猫が減ると鼠が増えて桶をかじる
・桶が使えなくなって桶屋が儲かる

のだそうです。本末転倒とは違うけれど、同じような連想の上に成り立っています。
一つのことから、関連する別のことに興味が行ってしまい、今度はそちらに思考が集中してしまう。結果的として本末転倒になったり桶屋が儲かったりするけど、同じ頭の使い方に則っている。非線形思考と言うか人間の思考方法です。思いつきなんてその極致だし。
お話を書くのも似ている。筋とか構成を決めてあっても、途中で違う方向に行っちゃうことがあったり、別の人が犯人になったりする。
登場人物が喋る時は、頭の中でその登場人物に成り切っていて喋ります。他の登場人物が出て二人とかで喋る場合は、その都度頭の中は別の人になります。多重人格ではないのでご心配無用です。喋る内容を考えてあっても流れで別の話になっちゃうこともあり、話が別の方向に行ってしまって筋そのものを変更したこともあります。

f:id:kusuda_fumihito:20180611165735j:plain

「Butterfly Effect」はご存じでしょうか。アマゾンの一匹の蝶の羽ばたきによる空気の揺れが、結果としてバングラデシュで台風を起こす、と言うもので、カオス理論の例としてよく取り上げられます。カオス理論では、初期値によって結果がまるきり変わるため、コンピュータ解析が無理とか。アマゾンの蝶の羽ばたきから、台風の代わりに北極の氷山が融けて海に落ちることもあるのでしょう。渋谷のスクランブル交差点の人の動きなどもそうでしょうね。中の一人がどのような動きをするか予測出来ない。
本末転倒の例で「夏休みのスケジュール表を作る」を「宿題は最後の一週間で仕上げる」にすれば、スケジュール表は作らないことになり、初期値が変わると結果が変わるこれも一種のカオスかも。
「夕方新橋の駅で友人と出会ってしまったことによる二日酔いの発生」なども、同じに違いない。