15.So What(ソー・ホワット)

マイルス・ディビスの「Kind Of Blue」に収められた有名な曲です。このアルバムが有名なのは緊張感漂う演奏もさることながら、モードジャズの始まりを告げる(定着した?)アルバムだからです。同じようなモードジャズとして「Milestones」もよく知られてますよね。ジャズが発展する中で、コードを複雑にして演奏の幅を広げたビバップが行き詰まって、モードジャズが始まったらしい。
 So What はこちら >>
 Milestones はこちら >>
モードジャズについては色々なサイトで取り上げられているので、そちらを参考にして頂くといいのですが、モードとは旋法(教会旋法)のことで、「ドレミファソラシド(イオニアモード)」以外に「レミファソラシドレ(ドリアモード)」「ミファソラシドレミ(フリギアモード)」「ラシドレミファソラ(エオリアモード)」など、色々なモードがあります。
「グリーンスリーブス」やサイモン&ガーファンクルの「スカボローフェア」もドリアモードだそうですね。
 グリーンスリーブスはこちら >>
 スカボローフェアはこちら >>
民謡らしい感じのする曲で、三拍子が余計古さを感じさせるのかもしれません。思わず冷凍のドリアをチンして食べました。
モードジャズでも穏やかな感じの曲もあります。ハービー・ハンコックのアルバム「処女航海」の代表曲と「Dolphin Dance」です。
 Maiden Voyage はこちら >>
 Dolphin Dance はこちら >>
モードの曲は、聴く分には特にどうってことはなく、普通のコード進行を使った曲とは雰囲気が違うくらいですが、演奏するアマチュアベーシストとしては結構悩みます。テーマの部分はなるべく同じラインを弾くようにして、ピアノやサックスなど他の楽器がソロに入ったら即興で弾くので毎回違うベースライン(ベースのメロディ)になります。
ベースラインの取り方は、大まかに「ブルース(ブルース系ロックを含む)」「その他(普通のコード進行の曲)」の二種類に分けられます。ブルースは昔からずっと親しんでいるので、特に気にすることなく、外れることもなく、ブルーノートスケールとメジャースケールを混ぜて弾きます。その他の曲はコードから外れないように、曲のキーを意識してベースラインを作ります。コードごとのスケールを組み合わせるのは、曲の調性が崩れる感じがするので余り好きではありません。
モードはどちらとも違う。モードの場合はコードがなくても、So What は「Gm7」と「G#m7」の 2 コードの曲と考えて弾けばいいんだけど、どれも同じになっちゃうんだよね。スケールを意識し過ぎだろうか。今まで演奏したことがあるのは「So What」と「Dolphin Dance」ですが、簡単に思えて弾くと同じようなラインを弾いてたりする。奥が深いけど入りたくないなぁ。

深大寺線物語」はジャズが登場するお話です。他の作品と違って不思議なものは出て来ません。
 深大寺線物語はこちら >>
京王線調布駅深大寺を結ぶ架空の路線「深大寺線」を舞台にしたミステリで、調布駅前に置かれた深大寺線の廃車両を再利用したカフェ「深窓館」での会話が中心です。主人公は深窓館常連の医師、小石弥平。ホットドッグがおいしいと評判の深窓館のママ、佐伯彩は小石の高校の同級生の妹です。小石と彩の兄達はジャズバンドを作ろうと計画していて、結局ピアノが見付からずに断念していますが、学生時代からののジャズ好きで、小石は店に来るたびにレコードを持って来て店内の電蓄で掛けてもらいます。時代は 1950 年辺りで、ビバップ全盛、クールジャズ、モダンジャズが登場し始め、モードジャズはまだまだです。在日米軍基地が近かったので新しい音楽情報も割とよく手に入っていたようです。
 

f:id:kusuda_fumihito:20171129120420j:plain


「Kind Of Blue」が登場しても全てのミュージシャンがモードジャズに走った訳ではなく、同じ年にトランペットのブルー・ミッチェルが「I'll Close My Eyes」のアルバムをリリースしており、こちらはそれまでのジャズを踏襲したスタイルで、身構えることなく安心して聴けます。