06.慣用句とかことわざとか

お話(電子書籍)を書いています、楠田文人です。

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「インカの串歌」を書いてから Web で Ruby のマニュアルやら説明を見たり、図書館で Ruby 本を借りたり、一頻り Ruby してました。大体思い出したけど、しばらく使わなければどうせ忘れます。必要になったらまた調べればいいや。

さて、小学校の国語のテストでは、教科書で習った慣用句やことわざの問題が出題されます。言葉と意味を線で結ぶ問題や正解を選ぶ問題、短文を書く問題が出されます。
「人ごみ」の答の中に「ごみのような人」ってのがありました。汚い感じの人を見たことがある子供なら、迷わずこれを選ぶでしょう。
お話で読んだ言い回しが出ると、「あ、これ知ってる」と喜んで正解に線を引いたものでした。学生時代は、話の中に慣用句やことわざを混ぜると物知りと思われて、ちょっと尊敬されますが、難しいことわざを使うと皆知らなくて逆効果になります。

「それは先生がだめだって言ってたし、臍を噛むことになるから止めとけば?」
「ほぞ、って何?」
「おへそのこと」
「どうしておへそを噛むわけ?」
「口が届かないよな」
「届かないから噛めなくて残念がるとか、後悔するって意味のことわざなんだよ」
「じゃ、最初っからそう言えばいいじゃん」
「言わなきゃよかったと臍を噛んだ」
「…」

よく使う言い回しは慣用句やことわざだけに限らず、口癖とか決まり文句にもあります。

「明智君、ひさしぶりだつたねえ」

「この印籠が目に入らぬか」

「月に代わって、おしおきよ!」

など、大勢の人が知っている文句は、色々なタイミングで使えます。

 

IT 系コピーのカタログや広告に、慣用句やことわざ、言い回しは使いません。

「新規システム導入の見積チェックでは、ソリューションベンダーに足もとを見られないように専門的知識を身に付け、こちらを見くびるプロマネに一泡吹かせてやりましょう。おためごかしに騙されないよう、見積で一杯食わされないよう、プログラム本数で頬被りされないように褌を締めてかかる必要があります。前システム担当者が煮え湯を飲まされて左遷された経験や、そろばんが合わなくなって専務が尻拭いをした経験などを肝に銘じて、今から腕を磨いておきましょう」

あり得ない…。意味が合わないと言うより、慣用句は人間の動作を表現しているため文章スタイルが合わないのです。
IT 製品のカタログでは、主語を使わない、敬語を使わない、ことわざなどの言い回しを使わないなど暗黙の表記規則があり、大企業になると表記例のマニュアルが用意されていたり、宣伝広報担当者が細かくチェックします。慣用句とかことわざは生活感に溢れているので、IT 製品と相性が悪いのでしょう。

サーバー製品のカタログを書くことになった時、著名なライターさんが担当していたけれど没にされたと聞きました。そして没の理由が
「このサーバーは企業の屋台骨を支える製品です」
と言うコピーのせいでした。担当者はこれが嫌だったそうな。確かに、「屋台骨」って言わないなぁ。ラーメンの屋台でとんこつスープを煮る雰囲気も漂って来る。そう言う言葉遣いをする人は他の部分も同じテイストで書いてるはずなので、随所にとんこつ感があったかもしれません。英語にすればよかったのだ。
「このサーバーは企業のバックボーンとなる製品です」

「ほうほうの体で」と言う言い回しがあります。これもビジネス文書などで使うことはありません。

「クライアントと打ち合わせ中、提出した見積の間違いを指摘されたため、ほうほうの体で逃げて来ました」

あり得ない…。

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「ほうほうの体で」と言う言葉は、お話を書くようになってから、一度使ってやろうと考えていました。七道奇談の「狐雨」で若旦那が驚いて逃げる場面で使いました。

 七道奇談 狐雨 >>

「慌てふためいて」も使いました。この手の「普段使わない言い回しリスト」を作って、順番に使ってやろうと計画しています。